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実験テーマ
沙耶の唄
実験日時
2004年1月下旬 総プレイ時間は4時間程度(推定)
実験の目的
「狂気に彩られた、主人公とヒロインの全てを超越した純粋な愛」について学ぶ
実験試料
メーカー
Nitro+
ジャンル
サスペンスホラー ADV
発売日
2003年12月26日
仕様等
CD-ROM1枚構成 

実験概要
爛れてゆく。何もかもが歪み、爛れてゆく

交通事故で生死の境をさまよった匂坂郁紀は、
いつしか独り孤独に、悪夢に囚われたまま生きるようになっていた。
彼に親しい者たちが異変に気付き、
救いの手を差し伸べようにも、
そんな 友人たちの声は決して郁紀に届かない。
そんな郁紀の前に、
一人の謎の少女が現れたとき、彼の狂気は次第に世界を
侵蝕しはじめる。

(メーカーサイトより)

実験結果
攻略キャラ

匂坂郁紀
本編の主人公。
不幸な事故を境に、現実と悪夢の境界線に囚われ続けることになる。

沙耶
謎の少女。
失踪した父親、奥涯雅彦を探すうち、入院中だった郁紀と運命的な出逢いを果たす。

戸尾耕司
郁紀の親友。
郁紀の怪しげな言動を訝りつつも、仲間たちを支えていこうと奮闘する。

高畠青海
耕司の彼女。
郁紀の豹変によって悩む瑶を心配する、心優しい女性。

津久葉瑶
青海の親友。郁紀に想いを寄せていたものの、
事故を境に人が変わった郁紀の態度に戸惑い、気に病むようになる。
つい他人に依存しがちで、場の雰囲気に流されてしまうことが多い。

丹保凉子
事故の後遺症に悩む郁紀の主治医。
過去に奥涯雅彦と何らかの接点があったらしい。


(メーカーサイトより)

システム 

修正パッチがありません。エロゲ業界ではこれが珍しいってのが悩みものですよね(^^;

相変わらず独自のシステムを使用しているっぽいですが、特に問題無しです。
キーボードにもほとんど対応していますし、非常に使いやすかったですね。

セーブ数は60個。既読・強制スキップ、バックログはマウスホイールに対応。
キャラ別に音声を指定したりオートモードも可能。
オマケはCG鑑賞と、Nitro+にしては珍しく音楽鑑賞モードがあります。

そして何よりも特筆すべきシステムは「ぼかし設定」でしょうか。
このゲーム、描写がグロいと言うことは間違いなく断言できるのですが、
それを少しでも柔らかくしようと言う試み…らしいです。
と言うかプロデューサーさん曰く、
余りにもグロいから権限で無理やりその設定を付けたそうな(笑

で、効果の程はと言いますと、余り変わらないかなと(-_-;)
むしろ3Dグラフィックでやけにリアルに描かれた、
素敵グロCGを腹を括って見て欲しいですね。
でもそう言う描写が本当に苦手な方はプレイ自体を避けた方が懸命かと。
私も耐性はある方だと思ってたんですが、開始1時間くらいはずっと気持ち悪かったです…

 

CG 原画:中央東口氏

相変わらず人を選ぶ絵だなぁ…と思いますが、
ハードボイルドやシリアス系、メカやグロ系CGを描かせるとこの方の絵は光りますよね。
メーカー2作目のヴェドゴニアの頃と比較して、
女性キャラの描写も可愛くなったなと思いました。
ただ、相変わらず立ち絵と1枚絵とのギャップがありますね。

背景はと言いますとグラフィッカーさんはアホですね(誉
プレイ開始1分目にしてあのCGですからね。ありえねえ。
ここまでリアルにスプラッターな描写をしてくるとは…かなり力入ってると思いますよ(^^;
しかし、塗りの方も素晴らしく、普通のCGの時でも見応えはあります。

CGは全部で85枚。このゲームのボリュームを考えれば質・量ともに満足いくものです。

 

サウンド 制作:ZIZZ

ニトロプラスでZIZZ+いとうかなこの音楽は定番になってきましたね。
曲数は15曲、その内ボーカル曲が2曲あります。

して肝心の出来栄えなんですが、作品の雰囲気作りとしては完璧。
ストーリーの陰鬱さやスリル、臨場感をプレイヤーにしっかりと与えてくれます。
しかし、曲単品で聴くと…いや、あまり聴いてて気持ちの良い音楽ではないですね。
どれだけチューニング下げればこんなギターの音になるんだよ!みたいな。

私、今までのニトロ作品のサントラは全部持ってるんですが、
今回はじめて買わないとかもあり得るかも(^^;
お気に入りは強いて言えば、「SAVAGE」「SILENT SORROW」「ガラスのくつ」辺り。


音声は全キャラフルボイス。今回は主人公にまで声が入ってます。
虚淵氏の手掛けるゲームには絶対に主人公に声が必要だ!と豪語してたので、
その念願が遂に叶ったので嬉しいかぎりヽ(´▽`)ノ
演技の方も皆納得いくレベルでした。

 

シナリオ 制作:虚斑玄

私が愛して止まないライターさんの一人です。大ファンなのです。
さて、いつもハードボイルドな作風が中心の氏の作品ですが、
今回はサスペンスホラーADVと言うお題目に挑戦してみたらしいです。

公式ページに行って沙耶の唄の紹介を見ると、どの辺がホラーなの?って感じですよね。
でもあの白を基調とした綺麗なページに騙されちゃいけません。
私はプレイしててそう思いましよ。これはもはや詐欺ですよ(言いすぎ

で、肝心の内容ですが、確かに作風と世界観はホラーです。
ゲーム開始早々にして主人公は極限状態ですし…
しかしシナリオ自体はかなり純粋な恋愛モノ。しかも救いの無い結末です。
「怖い」と言う感情はプレイしてて確かに感じましたが、
ホラーだから単に怖いのではなく、
人の感情の狂気性やそれ故の行動に「恐れ」を感じましたね。

総プレイ時間は5〜6時間ほどで、選択肢も2つしかありません。
飽くまでゲーム性は皆無。絵と音楽の付いた小説を堪能しましょう。

かなり突飛な内容ですが、シナリオの核が結構普遍的なのでより怖く感じるのかも。
読ませる・熱中させられるシナリオ、適度の緊張感、プレイヤーをあっとさせられる展開、
狂気の世界に入り込んでいく流れや、その世界の完結のさせ方は見事の一言。
しかも終わった後に考察までしたくなる奥深さ。最高です。
シナリオ自体は短いのですが、そのスピード感が逆に功を奏した気がしますね。
余り長くさせられても気が滅入る内容ですし(^^;

 

Hシーン

開始30分くらいでいきなり始まった時はびっくりしました。
でもこのシナリオ自体18禁じゃなきゃ実現できないような内容なので、
Hシーンにも必要性が感じられましたね。いい意味で流れを緩慢にさせましたし。

声優さんの演技は確かにハァハァさせられるんですが、
背景があり得ないんで実用性は皆無かと。
更に内容が触手とか3Pとか陵辱とか…人によっては辟易するかもですね( -∀-)

 


検討と考察
虚淵玄氏の新境地。氏の作品が好きなら買って損はなし。
コスト相応のエンターテイメント性、パフォーマンスはありますし、
グロやホラー、マッドな内容に耐性がある方にもお勧めします。

誉めてばかりなんですが、もちろん穴もあります。
キャラの感情の起伏が不自然で人間味を感じなかったり、プレイヤーへの情報不足も。
エンディングも余り良い余韻を残すものでは無かったですしね。

ただ、ここからは極個人的な意見ですが、
人間、モラルや道徳、理性なんてものを取っ払ってしまえば、
あれだけ純粋に恋愛に「狂える」ものなんだなと思いましたよ。

自分が理解できないものを目の当たりにすると、夢や幻と思い込んで納得するとか…
それでもやっぱり現実だから恐怖の末に狂ったのだとか…
そう考えるとキャラの突飛な感情や行動も理解できなくもないんですよね。

結論
「狂気に彩られた、主人公とヒロインの全てを超越した純粋な愛」について学んだ。
って言うか読んだ。

評価 75点 (ただしグロに耐性のある方のみ)

参考文献
■Nitro+オフィシャルホームページ