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実験テーマ
planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜
実験日時
2005年2月 総プレイ時間は2時間程度(推定)
実験の目的
「人とロボットが辿り付く答え」について学ぶ
実験試料
メーカー
KEY
ジャンル
キネティックノベル
発売日
2004年12月6日
仕様等
ダウンロード販売 1,050円(税込) 

実験概要

 

降り止まない雨──
30年前、突然の細菌攻撃により放棄された
『封印都市』
今はただ、自律型の戦闘機械が支配する
無人の廃墟
そこに彼はたどりついた
疲れ果て、身を潜めたビルの中に
その場所はあった
プラネタリウム
昔、満天の星々を眺め
人々が心を癒やした空間
そこで彼を一人の少女が迎える
少女の名は「ゆめみ」
30年の間、訪れる人を待っていた
プラネタリウム解説員
彼女は、壊れかけのロボットだった──
「ゆめみ」に乞われるまま
今は動かない投影機を動かすために
彼は時を忘れて修理を続ける
降り続く雨
静かに流れていく「ゆめみ」と彼の日々
遠い郷愁のような毎日が彼の心を揺り動かす
人工の星空に、彼は何を想うのか?
そして「ゆめみ」の運命は──?


(メーカーサイトより)


実験結果
システム

まず、これはキネティックノベル作品であり。ダウンロード販売のみとなります。
クレジットカードの必要性や、個人情報の登録など、
この時点で若干抵抗を感じられる方もいることは容易に想像できます。
購入層の限定は避けては通れないでしょうね。

プレイして受けた印象は必要最小限で、かつ物足りなさを感じさせない構成だということ。
メッセージスキップは[Ctrl]押下の強制のみ。オートモード、読み返し機能あり。
音声のビットレートを変更できたりもしますが、
実際音声が入るのは数箇所しかないので、意味は薄いかもしれません。
キャラの立ち絵が必ず画面右側に出てくるというちょっと特殊な仕様です。
また、背景は上半分に出てきたり場面変更によって一枚絵になったり。
始めは少し戸惑いましたが、慣れれば問題ないでしょう。
セーブ数は5箇所。ゲーム全体の尺の長さや選択肢が無いことを考慮すれば充分かと。
一度クリアーするとストーリーの目次毎にシナリオを読み返せます。
オマケは音楽鑑賞とCG鑑賞の2つです。

 

CG  原画:こつえー(駒都えーじ)

特徴は大きな目と優しくも鮮やかな色使い。一般受けするカワイイ絵柄だと思います。
ストーリーの関係上、衣装が変わったりすることは無いのですが、
立ち絵のバリエーションと表情の豊かさでそれをカバーしております。
背景が黒やグレーを多く使用してあるので煌びやかさこそ無いですが、
詳細に渡った作りとレベルの高い塗りで、非常に綺麗でした。

また、KEYにしては珍しくアニメーションを多く使用してたのも注目。
特に雨の演出はこの物語の根底にも関わってくるためか、クオリティは高いですね。

 

サウンド  作曲/編曲:戸越まごめ

製楽曲数が8個と数こそ少ないのですが、
シナリオの流れに沿った雰囲気のある楽曲を良いタイミングで流してきます。
宮沢賢治の楽曲や賛美歌をカバーする点など、製作者のこだわりも見受けられました。
どれもレベルは標準以上。まずまずの出来です。

恒例のお気に入りは「Gentle Jena」でしょうか。
この楽曲はシナリオとの相乗効果が素晴らしく、プレイヤーの心を揺さ振る名曲ですね。
音声もありますが、残念ながらフルボイスではなく一部分のみとなります。
また、無音部分を演出上使用していた点も良かったと思います。

 

シナリオ  製作:涼元悠一

舞台は戦争の結果雨が降り続ける退廃的な終末世界。
屑屋を生業とする主人公が偶然忍び込んだ場所はプラネタリウム。
そこがヒロインであるゆめみとの出会いの場所となります。

終わりの見え隠れする現状に精神的に追い詰められている主人公と、
ロボットであるためにその理由が理解できないヒロイン。
プラネタリウムという特殊な場面設定と、壊れ行く世界という現実との中で、
交差するはずの無い2人がある目的を元に次第に打ち解けていく様は、
とても尊くて儚い。そして非常に微笑ましいものでした。

また、プレイ時間が約2時間という短い尺の中でこれだけの設定と舞台を用意し、
それをプレイヤーに伝え、物語を完結させるライターさんの力に感心させられます。
しかもその物語の内容も素晴らしい。
驚愕させる巧みな叙述トリックも伏線もありませんが、
伝えたい答えと結末に向かって、緊張感と共に物語が加速していく内に、
いつの間にか手に汗握りながら熱中している自分に気付きました。

 

Hシーン

18禁ではないので、残念?ながらありません。
各自脳内で保管していただくということで(^^;

 


検討と考察
SFショートストーリーの秀作。万人にお勧めできるかと。
ただし、それはノベル好きであるということが条件。ゲームとしての評価は無いに等しいです。
また、KEY作品として本作を手に取ると痛い目を見るかも。別物として捉えてください。

それにしても、短い時間で私の感情を大きく揺さ振った作品はアトラク=ナクア以来かも。
キモいことを言いますが、少なくとも私がプレイした90分の中で、
あれほど悶え切なくさせてくれたヒロインは、ゆめみ以外にいなかったと記憶しています。

ラストである程度プレイヤーに推測の余地を残しているところも良いと思います。
この作品でゆめみが出した答えと、プレイヤー自身が辿り付く答えは、
ライターさん自身のレビューにも書いてあるように、人それぞれ。
人とロボットは…といった哲学的なものに到るのも良いですし、
自分自身でアフターストーリーを想像するのも良いでしょう。
この作品の大筋は、その答えを自分で考えることにあると思いますので。

個人的にSFとかメカとロボットと戦争〜みたいな世界観や悲劇が好きなので、
秋山 完や秋山 瑞人の作品を思い出さずにはいられませんでしたね。
と言うわけで点数も主観オンリーで100点を付けたいところですが、
ラストがハッピーエンドではないのと、もっとシナリオが長いと嬉しいなぁ…
と、そんな今後にも期待という個人的な意味を込めて90点とします。
実際は人を選ぶノベル形式で、ありがちな舞台設定で目新しさもありませんので、
さらにマイナス10〜15点くらいの評価で受け止めてくださって良いと思います。

結論
「人とロボットが辿り付く答え」について学んだ。
っていうか読んだ。

評価 90点

参考文献
■KEYオフィシャルホームページ